明日はいよいよ引越し

明日はいよいよ引越しだ。モモンガは前日から泊まり込みで最後の作業をすることになっている。泊ると言ってもママさんちにではない。近くのビジネスホテルを予約した。モモンガはアレルギー持ちだ。ダニとハウスダストに反応する。ママさんちの10年以上も干していない、ほこりだらけの布団に寝る勇気は、ない。

ということで、前日の午前中にママさんちに行ったら.....。居間も台所も風呂場もトイレも、とても明日引越す家には思えないさまだ。見かけ上ではまったく作業が進んでない。トラ吉はいったい何をしていたのか!!

いや、怒ってはいけない。トラ吉だって仕事をしながらママさんの世話をしている。それに、大人になってからの引越しは初めてだ。段取りよく物事を進めることが出来なくて同然だろう。だから怒ってはいけない。怒っても何も解決しない。だって明日は引越しなんだから!

それからモモンガは猛烈な勢いで食器や台所用品を箱詰めしていった。早い!早いぞモモンガ! モモンガはもう何回も引越しを経験している。北は北海道から南は沖縄まで、海外との往復もした。だから作業はお手のものだ。

明日トラックが来るのは昼ごろになるだろう。ちょっとお安い「午前フリー便」というプランにしてある。これは、引っ越し業者が朝一番の仕事を終えた後やって来るというもので、10時ごろから午後2時ごろまでの間に開始、というプランだ。だから、明日も午前中は多少の作業が可能だろう。

さあそろそろ昼ごはんという時、トラ吉が言った。「残り物でサンドイッチ作っといたよ。」と。見ると、タマゴサンドにカツサンド。見かけも味も、残り物とは思えない出来だ。う~ん。トラ吉、大きな声では言えないが、昼ごはんに力を入れるより食器の箱詰めを始めておいてほしかったな~。

午後もモモンガは庭の植木を引っこ抜いたりの大活躍だった。トラ吉は自分の部屋でちまちまと作業をしている。どう考えてもやっていることが男女逆だ。子どもの頃、ママさんによく言われた。あんた達、男女が反対だったらよかったのに、と。そんなことを思い出しながらも必死に作業を続けた。

そして引越しを頼んでいる子ブタ引越センター(仮名です)から電話があった。「明日は朝8:30から9:00の間に伺います。ご準備をよろしくお願いします。」と。うそぉ~!そんなに早く来るの?! これは想定外だ。まずい。がんばらないと間に合わんぞ、トラ吉! <続く>

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物置の片付け、完了!

1月も半分を過ぎた。立ち退きまであと10日あまりとなり、片付けにも熱が入る。トラ吉は、自室の押し入れと天袋の中を全てきれいにしたそうだ。やればできる。しかしなぜ今までやらなかったんだろう。

モモンガは物置と格闘した。物置には何十年分かのがらくた?が詰め込まれていた。自転車に漬物桶と石2つ、いくつものポリバケツ、園芸用品、大工道具、げた箱、何だかわからない板や棒、竹、すだれ、花瓶、水盤、剣山、野球のバット、各種紙袋、長靴などなど.....。段ボール箱があったので引き出してみると、「書籍E」と書いてある。近くには「書籍F」という箱も。待てよ。E、Fがあるということは、CもDもAもBもあるということか?!

......。ありました。中身は亡くなった父の趣味の本や仕事関係の本、モモンガが子どもの頃読んでいた文庫本もたくさんあった。硬い本だけでなく、観光地のガイドや料理の本、昭和の大スター石原裕次郎や美空ひばりを特集した雑誌も出てきた。あぁ、いちいち見ているときりがない。全部ひもで縛って資源ごみに出そう。

1日や2日で片付けられる量ではない。何日かに分けて片付け続け、ようやく不要なものはすべて処分できた。市のゴミ袋に入らないものは、のこぎりで切って短くした。これは結構な手間だった。困ったのは、洗面流し台が出てきたときだ。昔、脱衣所にあった流しを撤去し、洗濯機置き場を作った時のものだ。賃貸住宅なのでいつかは原状復帰しなければならないことを考え、父が取っておいたのだろう。だけどもう不要だ。捨てなきゃ。でも困った。ゴミ袋に入らないサイズだ。どうしよう.....。

その時、近所の家を壊しに来ている解体屋のおじさんが声をかけてくれた。「いらないもの、出してもいいよ」と。えっ、本当ですか! わぁ~助かります。お言葉に甘えて、洗面流し台とパイプ類、トラ吉が中学の時に作った椅子などを持って行ってもらった。これらを大型ごみで出すとお金がかかるのだ。おじさん、ありがとうございました! 深々と頭を下げたモモンガに、おじさんはこう言った。「引っ越しは大変だね~、奥さん!」

.....。おじさん、私はこの家の奥さんじゃありません。お嬢さんですっ!!

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賃貸契約完了!

移転先の賃貸契約が無事完了した。審査が下りたと言っても契約が終わるまでは安心できなかったので、ほっとした。これで本当に安心だ。

そして思ってもみなかったプレゼントが。お風呂の浴槽等が古くなっているので新しいものに替えてくれるそうだ。しかも、追い焚き式にしてくれるという。やった~!! うれしい。本当にうれしい。戸建住宅の風呂は窓もあるし、冬は寒い。だから物件探しの時は、追い焚き式にこだわった。一度はあきらめたが、このような形で希望がかなうなんて。神様、ありがとう。

あとは引越しの日を待つのみ。さあ今週も片付けをがんばろう。

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ママさん、旅に出る?!

下痢騒ぎもようやく落ち着いたある週末のことだった。遅めの朝ご飯を食べたママさんは、パジャマ姿のままこたつに入ってテレビを見ていた。トラ吉は引っ越し前の部屋の片づけをしていた。1時間ぐらい2階の自室にいて、そろそろ昼ご飯の用意をしようかなと下に降りて行ったら。。。。

ママさんがいない! 影も形もない。トラ吉はすぐ外へ飛び出して周囲を見まわした。ママさんの姿はどこにもない。こりゃ本格的に探さなきゃと思って外套を取りに戻ったところで電話が鳴った。

ママさんが小学校の校庭で保護されているという。家から10分ぐらい歩いたところにある小学校だ。校庭でサッカーチームが練習しているところにママさんが現れたそうだ。真冬の空の下、パジャマにカーディガンをひっかけただけのばあさんがサッカーを見ていたら、そりゃおかしいだろう。すぐ気づいたサッカーの指導者の方が、親切にも電話で知らせてくれたとのこと(ママさんは自分の名前と電話番号が言えたのだ!)。トラ吉はママさんの上着をつかんで小学校へ急行すると、そこにはおまわりさんも来ていた。

こういう場合、ママさんを引き取るのも簡単ではなく、トラ吉は一応事情聴取?を受け、身分証明書を提示しなければならなかったそうだ。そして、連絡をくれた指導者の方には平謝りだったとか。改めてお詫びとお礼に伺うと言ったそうだが、それは先方が固辞したとのこと。

ママさんが徘徊するとは思わなかった。最近はすっかり身も心も弱ってきて、こたつにもぐりっぱなしだったというのに。あとでトラ吉には、「近所の子供連れの人に誘われた。」と言ったとか。う~ん、夢を見ていたのか、それとも何か大いなる力に引かれたのか。。。。。

ママさんちからその小学校までの道のりには段差もあるというのに、転んだ形跡はまったくなかったそうだ。転んであごを切ったのはつい5日前のこと。いったいどうなっているのか。

不思議だったのが、おまわりさん。ママさんの受け答えがしっかりしているので認知症とは思わなかった、と......。おまわりさん! それはないでしょう。季節は真冬。ママさんはパジャマにカーディガン、サンダル履きだ。パジャマだって、スウェットパンツとトレーナーなどではなく、どう見ても寝巻にしか見えないタイプのものだ。それをおかしいと思わないなんて、おまわりさん! あなただって十分おかしいですよ。

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移転先の条件とは

引越しを今月末に控え、年末の大掃除はいつになく熱が入った。正月明けからも、ごみ収集のカレンダーをにらみながらこみを捨てている。

移転先は運よく見つかり、審査も無事通った。100点満点の物件ではないが、90点はつけてもいいのではないか。今回は物件探しで挙げた条件を紹介したいと思う。

■生活圏が変わらないこと
これはとても大切。いつものスーパーなどいつも行く店、かかりつけの医者に同じように行けることと、昔のパート仲間のお友達が訪ねてくれる範囲内であることを第一に挙げた。物件を探す範囲を広げれば、もっと選択肢も多くなっただろうが、この条件だけは譲れなかった。

■電話番号が変わらないこと
ママさんは、住所と電話番号が言える。移転先でも同じ電話番号が使えるかどうかも重要なポイントだ。

■トイレが洋式か
古い戸建て住宅だと、和式トイレの物件がある。要注意だ。今回見た物件の中にも和式トイレがあった。

■洗濯機置き場が室内にあるか
トラ吉は、帰宅後夕食の支度をしながら洗濯機を回す。だから、台所-洗濯機置き場の動線が重要だ。今回見た物件のいくつかは、洗濯機置き場が外にあった。そこがたとえ屋根付きであっても、トラ吉は「パス!」と言った。

■隣家とくっつきすぎていないか
万が一火事を起こしてしまっても被害が最小限で済むように、隣の家とはある程度離れているかどうかも大切。今回見た物件の中には、隣の家の窓に飛び移れそうなぐらい近い家があった。それもパスした。

■ママさんの居室が和室か
まだ(介護用)ベッドのお世話にはなっていない。布団を敷いて寝ているし、冬はコタツを出している。フローリングに直接布団を敷くと、汗で布団が湿る。しっかり断熱材を使っている家なら別だが、そうでない場合は布団にカビが生える原因になる。

■現在の家財道具が入るだけの広さがあるか
ママさんちは今は二人暮らしだが、昔は父もいたしモモンガも一緒に住んでいた。なので、タンスの数も布団の枚数も多い。それらをすぐに処分するのはむずかしいので、移転先もそれなりの広さが必要だ。

■お風呂は追い焚き式か
残念ながら、移転先は追い焚き式ではない。これはモモンガがこだわった条件だった。冬の戸建て住宅の風呂場は寒い。今のママさんちの風呂場も寒い。追い焚きができるからゆっくり湯船で温まることができる。モモンガはそう主張したが、トラ吉は「別にどっちでもいい」と....。う~ん、トラ吉がそう言うならいいけど、冬は寒いよ~

■都市ガスか
今のママさんちは都市ガスだ。プロパンだと、ガステーブルや湯沸かし器を買い替えないといけない。面倒だしお金もかかる。何より、ガステーブルも湯沸かし器もまだきれいだ。もったいない! だけど、移転先はプロパン.....。これも希望に合わなかった点だ。

■地デジ化対応済みか
ママさんちはケーブルテレビを引いているので地デジが見られる。移転先も、何らかの方法で地デジ化への対応が済んでいるといい。この点については、UHFアンテナが設置されているのを確認したので問題なし......だと思う。

■トラ吉の居室にテレビのジャックがあるか
トラ吉は自分のテレビを持っている。自室で好きなテレビ番組が見られるように、テレビのジャックがあるかどうかもポイント。

その他にも、日当たりや風通しなど、物件を借りるときの基本条件がある。しかし、それよりも上記に挙げたポイントを重視して探した。その結果、「都市ガスではない」「追い焚き式ではない」の2点だけが条件に合わなかったが、ほかは合格の物件が見つかった。日当たりも風通しも良い。しかも、ラッキーなことにエアコンが設置されている。ママさんの居室だけでなく、トラ吉の部屋にもだ。これはありがたい。トラ吉の部屋にはこれまでエアコンがなかった。トラ吉は、エアコンの風は苦手だと言うが、日当たりのよい、蒸し風呂のような部屋でこれまでよく寝られたものだと思う。トラ吉が少しは快適に暮らせるようになると思うと、モモンガはうれしい。

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続々・物件探し

物件探しの仲介をしてくれている不動産屋さんから連絡が入った。審査に通ったって! あ~よかった~。これで一安心だ。あとは必要書類を揃えて契約書に記入し、判をつくだけ。連帯保証人となったモモンガは、印鑑証明を提出する必要がある。印鑑登録? 今の家に引っ越してきてからは、やってない。で、仕事の合間を縫って市役所に行き、登録を済ませて証明書も取った。

次は引っ越し業者選びだ。少しでも安くあげるため、トラ吉とモモンガそれぞれの職場や組合と提携している業者リストから複数選び、見積もりに来てもらった。トラ吉、モモンガが揃う日はあまり多くない。なんとかうまく段取って、一日で全て済むようにした。

相見積であることを先方に伝えた結果、予想よりも安いところまで値を下げてくれた子ブタ引越しセンター(仮名です)に決めた。予定通りトラックが来てくれさえすれば、転居先は近いし、作業は問題なく進むだろう。

あとは、家中の片付けと不用品の処分だ。これが本当に大変で、捨てても捨てても次から次へといろいろなものが出てくる。一度も使わないまま黄ばんでしまったシーツ、タオル類は相変わらず出てくるし、すごく大きな花瓶とか、大昔に使っていた小型アンカや扇風機などのほか、一体なんでこんなものを後生大事に取っておいたのかと思うものばかりだ。物置なんてもう、ブラックボックスと化している。昭和50年代の商品カタログなども出てきた。亡くなった父がしまっておいたのだろう。どうして今まで誰も片付けなかったのか! 文句を言っても仕方ない。とにかく引越しのその日までにすべて片付けよう。もうやるしかない!

2011年もあとわずかで終わる。今年も本当に多くの人に助けていただいた。モモンガも、困っている人がいたら気軽に手を差し伸べることができるようになりたい。そのためにも、心身ともに健康でありたいと、心から願う。

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マ・マ・さ・ん・が、また転んだ! (その2)

ママさんに処方された化膿止めは、その夜から威力を発揮した。威力を発揮したのは副作用、「下痢」のほうである。トラ吉の報告によると、夜中から下痢がはじまり、もう紙パンツも尿取りパットも役に立たないぐらいだったそうだ。

ケガ二日目はデイサービスを休み、下痢に注意しながらタヌキ山医院(仮名です)へ行き、消毒してもらった。順調にいけば一週間後に抜糸になるが、それまでは毎日の消毒が必要だということだ。デイサービスに行っているときはデイの看護師さんがやってくれるし、家では家族がやっていいという。消毒したあとは、市販のカットバンの大きいサイズを貼っておくように言われた。うちには大きなサイズのカットバンも消毒液もない。急いで買ってこなくちゃ。

ママさんちの近くに薬局はない。昔はあった。でも、今は駅前まで行かないとない。どのタイミングで買いに行くか。。。タヌキ山医院からの帰り道、モモンガはいい方法を考えた。まず、通り道にあるグンマ理容室(仮名です)に行った。ママさんはきのうも今日も風呂に入っていない。明日も入れるかどうかわからないので、髪を切って洗髪をしてもらい、その間にモモンガが急いで駅前まで行って買い物をしてくる、いうわけだ。グンマさん(仮名です)にはいつもお世話になっている。事情を話し、「消毒液とカットバンを買ったらすぐ帰ってきますから。」とお願いしたら、ママさんを快く引き受けてくれた。よかった! グンマさん、ありがとう!

ママさんの下痢がさらにひどくなったのはその夜だった。トラ吉はそんなママさんが心配で、夜は自室ではなく炬燵にもぐって寝て、夜通しママさんの様子を気にしていたという。あまりにも下痢がひどいので、タヌキ山医院に電話して相談したそうだ。タヌキ先生(仮名です)は、下痢止めを処方するから、誰か取りに来られないかとのこと。無理だ。トラ吉もモモンガも仕事を休めない。

結局夜中と明け方の2回、パンツもパジャマも、シーツさえも汚れるぐらいひどい下痢だったそうだ。ケガ三日目、トラ吉は朝6時過ぎに電話でモモンガにそう報告し、ほとんど寝ないまま仕事に行った。その日もデイサービスは休むことにして、モモンガはケアマネさんに連絡した。下痢止めの話も、今日は取りに行けない話もした。するとケアマネさんが、「私、代わりに行ってきますよ。行ってもいいか、タヌキ先生に聞いてみてください。」と申し出てくれた。

えっ、本当ですか?! 助かります! 時計を見て、タヌキ山医院がそろそろ開く時間を見計らって電話してみた。タヌキ先生は、「いいよ。」と一言。やった~! すぐケアマネさんに電話し、あとのことはお願いした。今日はトラ吉もモモンガも仕事で、昼間はママさんひとりだ。下痢も続いているし、脱水症状も心配だ。ケアマネさんは臨時のヘルパーさんの手配もしてくれて、「手配できないときは私が入ります!」とまで言ってくれた。ありがとうございます! 以上のやり取りは、モモンガの通勤中に携帯電話と携帯メールを使って行った。特にバスに乗っている間は携帯メールが威力を発揮した。こういう時、携帯電話は本当に便利だ。

その後下痢止めが効いて、ママさんのほうは何とか落ち着いた。あぁ、よかった。。。今回のけがはモモンガの不注意から始まったことだ。ママさんがこのまま具合が悪くなり、死んじゃったらどうしようと思った。ママさんの最期が下痢で苦しみ、ウンチまみれだったなんてことになったら、そしてそれがモモンガの不注意に端を発していることだったら、悔やんでも悔やみきれない。

さて、下痢便に付着していたウイルスを吸いこんでしまったのかどうかはわからないが、モモンガもトラ吉もその後下痢、吐き気、熱に襲われ、数日は体調が悪かった。モモンガもトラ吉も、ウンチの始末のときはこれまでマスクも手袋もしてなかった。だって、悠長に手袋なんてしていられないよ~。早く片付けないと。でも、ウンチの始末をするときは、やっぱり手袋をしたほうがいい。マスクもおすすめだ。自分を守るため、ママさんを守るため、これからは気をつけよう。

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マ・マ・さ・ん・が、また転んだ!

「なんちゃって」ヘルパー日、いつものようにいつものスーパーに行き、いつもの買い物をして家まで帰ってきた。家まであと5メートルというところで、ママさんが転んだ! しかも前にそのままバタンと、まるでギャグマンガのひとコマのように!

下はアスファルトだ。ママさんは、「う~」とうなり声を上げて動かない。まずい!! 「ママさん、しっかりして! うちはすぐそこだから、ちょっとひとまず起きて!」

見ると、下あごから血が出ている。唇にも血が。手足は大丈夫のようだ。歯も折れていない。「ママさん、しっかりして! 立って!」 モモンガが必死に呼びかけるが、ママさんは体に力が入らないようで、なかなか立てない。

とにかくママさんを家の中に入れないと。モモンガはママさんをそのままにしてひとまず玄関のかぎを開け、両手に持っていた買い物を家の中に置いた。そしてママさんが倒れているところに取って返し、なんとかママさんを立ち上がらせて、支えながら家の中に入れた。あぁ、手足の骨は折れていないようだ。よかった。。。

部屋に入れて椅子に座らせ、明るいところでよく見てみると、下あごのところは、血こそほとんど出ていないが結構切れているようだ。う~ん、どうしよう。自分ならカットバンを貼っておくだけにしちゃうかも。でもママさんはそれでいいものかどうか。。。唇か口の中も切ったようなので、ぬるま湯を入れた湯のみと洗面器を持ってきてうがいをさせた。う~ん、やっぱり切れている。医者へ連れて行こう。この近所に外科はあったかな。駅前まで行けば一軒あるのは知ってるけど。

モモンガはケアマネさんに聞いてみることにした。携帯にかけて事情を説明したら、ケアマネさんは、「タヌキ先生(仮名です)に相談してみたらどうでしょうか。」と言った。タヌキ先生とは、ママさんのかかりつけ医だ。タヌキ山医院(仮名です)の二代目院長で、モモンガは子どもの頃、先代のタヌキ先生にお世話になった。時計を見ると、夕方5時過ぎ。タヌキ山医院は午後6時までだ。電話して事情を説明するとすぐ院長に繋いでくれ、「連れてきなさい」とのこと。「よしっ、ママさん、タヌキ先生のとこに行くよ!」 

保険証や診察券を用意して出かけようとしたら、何とも言えないニオイが漂ってきた。。。ママさんのパンツを確認すると。。。あ~っ、ママさん、ウンチしてるじゃないかっ! いくらなんでもこのままじゃ行けないよ~。大急ぎでズボンと下着を脱がせ、おしりを拭き、新しい下着を穿かせ、ズボンを穿かせた。下着は紙パンツにして、えっと、念のため尿取りパッドもつけておこう。汚れ物の処理は帰宅後にすることにして、とにかくタヌキ山医院に向かった。

冬の日は暮れるのが早い。外はもう真っ暗だ。ママさんちからタヌキ山医院までは歩いて10分ぐらいだが、ママさんがもう転ばないように腕を組んでゆっくりゆっくり歩いて行った。医院まであと10メートルぐらいのところまで行った時、ママさんは力尽きたのか歩みが止まり、座りこもうとした。「ママさん! しっかり! ほら、タヌキ山医院はすぐそこだよ。歩いてよ!」 モモンガはママさんをおんぶしようとしたが、重い。重すぎる。だめだ、おんぶは無理だ。

ママさんを叱咤激励しながら、それでもなんとか医院までたどり着いた。ドアを開けたらすぐ看護師さんが飛んできてくれて、あとはスムーズに処置室まで行けた。タヌキ先生いわく、「う~ん、これは縫った方がいいな。」 えっ! そうなんですか?! 血はほとんど出ていないんですけど。 「ぱっくり割れてるよ。」 え~っ! 

そのあとはモモンガは処置室の外に出されていたので見ていないが、下あごは何針か縫った。唇の方はなにもしなくてもいいということだった。「明日の午前中、消毒に来てくださいね。」 え~っ、明日ですか。。。はい。。。なんとかします。そして化膿止めを処方してもらった。これを飲むと多少下痢気味になるそうだが、飲むのをやめれば止まるから心配いらないとのことだ。帰り道は医院で車椅子を貸してもらった。車椅子を押すのは初めてだ。うん、楽ちん。ママさんが歩くよりこのほうが早い。そうやってなんとか家まで帰ってきた。夕食はやわらかく、食べやすいものにして、化膿止めを服用した。やれやれ、縫ったのは一大事だけど、手足の骨も前歯も折れなかったのはよかった。

だが、このあとその化膿止めが大変なことを引き起こすのであった。。。。<続く>

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続・物件探し

やっとトラ吉と予定を合わせることが出来、まとめて物件を見に行くことになった。2軒の不動産屋に頼んでピックアップしてもらった計5軒だ。どれも古い戸建て住宅で、ママさんちから徒歩10分圏内である。

こういうことは事前の準備が大切だ。モモンガはそれらの物件の正確な位置をネットの地図上で調べ、グーグルのストリ-トビューで近所の様子もチェックした。ストリートビューは、プライバシー侵害だと言われているが、こういうときは便利だ。鉄道の高架から実際には2軒分しか離れていない物件もあってこりゃパスだなと思ったが、見るだけはタダだから、とにかく全部見ることにした。

それからNTTに電話して、今の電話番号と変わらないかも調べた。今使っている電話番号と転居先の住所を言えば、NTTで調べてくれるのだ。同じ町内でも大きな通りを挟んでいたり、川があったりすると収容局が変わり、番号も変わることがあるという。結果は、5軒のうち1軒だけ変わる、ということだった。う~ん、じゃこの一軒はパスだな。それと位置情報、間取りで第一希望の物件は決めた。トラ吉も、全く同じ物件を第一希望に挙げた。よしっ! 意見が合ったぞ。

当日、午後から2軒の不動産屋をはしごして全部見た。かなり忙しかったが、必要なポイントはチェックできた。実際に見たところ、やはり事前に第一希望としていたところがよかった。で、モモンガはトラ吉にこう言った。

「これだけ条件に合う物件はもう一カ月以内には出ないと思うよ。申し込みしようよ。」と。退去の期限まであと1カ月少々。他を探す時間もあまりない。探しても、これより条件がいい物件が出るとは限らない。さすがに腰の重いトラ吉も納得してくれた。

ママさんが住む地域で物件を借りる場合、まず申し込み書に記入する。現住所、契約者(トラ吉)の氏名、勤め先、年収、居住予定者(トラ吉とママさん)、転居の理由、保証人(モモンガ)の住所氏名、勤務先、年収を書いて、それらの資料を家主さんが見て貸すか貸さないかを決めるという(審査)。支払いは審査に通ってからなので、この段階では一銭もかからない。

念のため、トラ吉もモモンガも職場発行の写真付き身分証明書と印鑑を持っていったので、その場で全て記入出来た。身分証明書は不動産屋がコピーを取った。まちがいなくこの人物が勤めているかを調べるのだろう。どうぞどうぞ調べてください。ちゃんと働いていますから!

審査に通るか否か。トラ吉は安定した職を得ている。モモンガだって、収入こそ多くないがあやしい仕事はしていない。家主さんに嫌がられることはないだろう。ひとつ心配なのは、ママさんのこと。年寄りが住むことについて、家主さんはどう思うだろう。先日のチューリップ不動産(仮名です)のオヤジを思い出した。「家で死なれたりすると困るんですよね。次に借り手がいなくなっちゃうから。」。。。

仲介してくれるのは、いつか記事に書いた、「しっかりしてくれよ、兄ちゃん!」の不動産屋ではない。今までずっとお世話になってきた不動産屋だ。現在のママさんちを借りたときの仲介業者で、ここ何年かは毎月家賃を納めに行っている。納入日はちゃんと守り、いつも愛想よく挨拶しているので、悪い印象は持っていないはず。今回の転居の理由だって熟知している。だからモモンガは丁寧にお願いした。ママさんは確かに要介護4の年寄りだけど、平日の朝は毎日ヘルパーさんが来ていること、週4日はデイサービスに行っていること、行かない日はモモンガが来て世話をしていること、週1日は夜もヘルパーさんが来ていること、週末はトラ吉がちゃんと見ていることを説明した。それでも家主さんが心配だというなら、夕方からトラ吉の帰宅時間までヘルパーさんに入ってもらうようにするので何とか住まわせてほしいと。

審査には二週間ほどかかるという。神様、どうかいい返事がもらえますように。少しでも今と近い条件の住まいがママさんに与えられますように。

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マ・マ・さ・ん・が・転・ん・だ

今週の「なんちゃって」ヘルパー日のこと。不動産屋から紹介された物件の周囲の様子を見に行った。帰りに、ついでに買い物もしてこようとママさんも連れて行った。ほんの15分ぐらい歩いただけなのに、帰り道、ママさんはかなり疲れ、最後にはモモンガの腕をつかんで引きずられるようにして歩いていた。そしてスーパーの近くまで来た時、ママさんが転んだ! 

モモンガの腕をつかんでいたので、転んだといってもよろよろとくずおれたという感じだ。全くもう....と思いながら、モモンガはママさんの手を引っ張って立ち上がらせようとしたが、なかなか立てない。どこかを打ちつけたり、どこかの骨が折れたりしているとは思えない。小さい子が駄々をこねて、「買ってくれるまで動かない!」と言ってる感じだ。

もう夕方の5時ごろ。あたりは暗くなっている。往来には車も人もそこそこ通っている。「ママさん、しっかりしなさいよ!」と言っていたら、自転車で通りかかったおばさんが「大丈夫ですか?!」と声をかけてくれた。

その人はすぐ自転車から降り、ママさんが立ち上がるのを手助けしてくれた。ママさんがようやく立ち上がり、お礼を言ったモモンガの顔を見たその人は、「あら?!」と声をあげた。「**さんでしょ? ほら、トヤマ文具(仮名)です。」

あっ、トヤマ文具のおばさんだ。トヤマ文具はモモンガとトラ吉が通っていた小学校の近くにあった文房具屋で、大学に入るころまで文具はいつもそこで買っていた。何十年振りだろう。それにしてもおばさん、よくわかったね。モモンガはそんなに当時と顔が変わっていないのだろうか。

おばさんにはさらに丁寧にお礼を言って、帰宅を急いだ。スーパーに寄りたかったけど、ママさんがかなり疲れた様子なのでいったん家に帰ることにした。のろのろ歩いていたら、向こうから来た黒っぽい車が止まり、中から女の人が「どうしたの? 大丈夫?」と声をかけてきた。

あっ、イワテさん(仮名です)の娘さんだ。イワテさんちも立ち退きなので、娘さんが家の片付けに来ている。その娘さんが車を止めて声をかけてくれたのだ。「大丈夫ですよ。ありがとうございます。」と、モモンガ。だってその道は一方通行。車に乗せてもらうとすごく遠回りしないといけない。イワテさんの娘さんだって家路を急いでいる。迷惑はかけられない。

お二方の親切な声かけに、モモンガの心はポカポカ温かくなっていた。困っている人を見ると放っておけない人が多く住んでいるこの地域。こんないいところなのに、住み続けることが出来ないなんて.....。もう無理だとはわかっているが、本当に、なんとかならないものかと思う。

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